胆嚢疾患
ペット 胸部・腹部
肝臓で作られた胆汁は胆管を通って胆嚢に集められ、ここで濃縮されます。その後、胆嚢は食物の刺激を受けて収縮し、胆管の出口を開いて胆汁を十二指腸に分泌します。胆汁の働きには、小腸における脂質の消化吸収、代謝産物としての脂溶性物質の排泄、小腸内でのpH環境調節などがあります。このように胆嚢は胆汁をためて濃縮する臓器で、働きの本質は胆汁にあります。
しかし、この胆嚢は胆泥症というコレステロールなどを材料とした泥がたまっているだけの無症状のものから、胆嚢炎や胆嚢粘液嚢腫といった生命に重篤な影響を及ぼすものまで、重症度が多岐にわたります。特にミニチュアシュナウザー、ヨーキー、トイプードルなど脂質の代謝があまり上手でない犬種に多い傾向があり、定期的な胆嚢の検診を推奨します。血液検査のみでは重症度の診断にはやや不安が残りますので、超音波検査を併せて行うことが重要です。
(2021年8月執筆)