けがが治るまで (1)
ペット 診療のこと
皮膚は体表の大きな割合を占め、私たちを守ってくれている非常に強い防御力を持った器官です。それでも、外傷にはじまり腫瘍や嚢胞、膿瘍によってもダメージを受けます。「私が包帯を巻き、神がそれを治す」とはよく言ったもので、私たちの体には傷を治す力が備わっているため、それを上手に引き出してあげることが重要になります。
まず傷ができたとき、そこから出血し、傷口に血液が満たされることで洗浄、治すための細胞を供給します。その後血液は凝固し、血餅となって傷口にふたをして、中では細胞が壊れた組織を一生懸命に処理します。これが、かさぶたがのっている時期のことです。このとき、処理するものが多すぎて膿として排泄できなければ治癒が遅くなります。まず傷口を洗うのは、この過程を手伝うためです。
自分でいじりすぎてもこの過程の邪魔になるので、気にしていじってしまうときはエリザベスカラーも有効です。
(2022年7月執筆)