食道炎
ペット 診療のこと
食道炎は薬や化学物質などの誤飲、過度の嘔吐や胃酸の逆流(逆流性食道炎)などで起こり、吐き癖のある高齢の猫に多く見られます。食道炎は比較的発生頻度が多いと考えられています。食欲不振・流涎・嚥下運動の増加・発咳などの症状が見られますが、はっきりとしない場合もあり、見過ごされることが多くあります。重度の炎症が続くと粘膜の瘢痕収縮が起こり、食道狭窄などの不可逆的な疾患へとなり治療が困難となるため、早期に対処することが必要です。確定診断には、食道のX腺造影検査や内視鏡検査が必要になるため、過去の病歴や問診で食道炎と仮診断して治療することが多くあります。食道粘膜を保護するスクラムファートの水剤や、胃酸の逆流のために起こるものでは胃酸分泌抑制剤や消化管運動改善薬などが考えられます。食道の運動性が弱い猫では、食器の位置を高くして食事を与える方法も有効です。
(2016年6月執筆)