皮膚糸状菌症
ペット 診療のこと
皮膚糸状菌症は皮膚糸状菌と呼ばれる真菌の仲間の影響で起こる症状で、脱毛、紅斑(こうはん)、痂疲(かひ)、リングワームと呼ばれる皮疹が主な症状として現れます。やっかいなのはこの真菌は犬や猫から人にも簡単に感染する、人獣共通感染症としての側面です。
健康な子では無治療でも2~3カ月で自然治癒すると言われていますが、その期間に排泄された感染被毛や落屑(らくせつ)によって簡単に環境は汚染され、多頭飼育ではもちろん、人を含めたさまざまなものに対する感染リスクが非常に高まります。また、人の治療では外用薬が一般的ですが、犬猫では毛が密で十分皮膚の真菌まで浸透しにくく効果が薄いと考えられています。そのためシャンプーや内服薬の治療はもちろんですが、毛刈りや掃除、動物を触った後の手洗いなどを徹底することが重要と言われています。特に若齢の子に多いので、迎え入れたばかりの場合は注意しましょう。
(2024年12月執筆)