前頭葉の機能と前頭側頭型認知症
診療のこと 頭部・首・肩
人類は進化の過程で大脳皮質を著しく増大させました。その中で特に発達したのが前頭葉です。前頭葉は思考・創造をする脳といわれています。抽象的な思考を行う他に、注意を向け集中する機能、物事を計画し複雑な課題を実行する機能、感情をコントロールし衝動を抑える機能、社会的な状況を理解し適切な行動をとる(いわゆる空気を読む)機能なども担っています。
認知症の一つである前頭側頭型認知症(特に行動障害型)では、これらの機能に障害が出てきます。具体的には無関心になり、途中で物事を放り出したりします。社交性が低下して自己中心的な行動が多くなり、傍若無人な印象を与えます。また、行動が単調になり日々同じことを繰り返す傾向があり、倫理感に無頓着になったりします。ただ、初期には物忘れは目立ちません。タウタンパク、TDP─43などの異常タンパクが脳に蓄積するのが原因だと分かっています。
(2024年7月執筆)