治療完了は口腔ケアの再スタート
口・歯 診療のこと
歯を失う原因として、治療した患部の再治療によって歯の強度が下がってしまうことが挙げられます。ご存じの通り、歯の治療は患部を削り人工物で補います。再治療の場合、その患部をさらに削ることになるので、歯が薄くなり割れたり、ひびが入ってしまうことが起きるのです。歯根まで割れてしまった場合、抜歯の選択肢しか残らないこともあります。
治療した歯を長持ちさせるためにも、お口のケアは大切です。歯周病の場合も同じです。歯周病にかかってしまったところは、言い換えると歯周病になりやすいところとも言えます。再発を防ぐためにもしっかりケアを意識しましょう。
インプラント治療においても、「インプラント周囲疾患」といわれる歯周病と同じような疾患が起こる可能性があります。インプラントと歯茎の隙間に歯周病菌が溜まり、炎症を起こす疾患です。歯周病と同じように初期では自覚症状がほとんどありません。しかし、重度になるとインプラントを支える顎の骨が溶けてしまい、インプラントが抜けてしまうこともあります。
日本歯周病学会がインプラント治療後3年以上の患者267人を調査したところ、約1割がインプラント周囲疾患であったとの調査報告もあります。せっかく時間と費用をかけて行ったインプラント治療です。治療した歯をできるだけ長く維持するために、毎日のセルフケアと定期的なプロケアを実践し、予防歯科を意識していきましょう。
(2024年7月執筆)