抗菌薬
ペット 診療のこと
近年、抗菌薬の使い過ぎや不適切な使用によって、細菌が抗菌薬に対して耐性をもった「薬剤耐性菌」が環境中に増加しています。
原因が除去できず同じ抗菌薬を頻回に投薬したり、投薬指示が守れず中途半端に投薬してしまったり、多頭飼育や介護で衛生管理が不十分だったりする場合など、難しいことではありますが注意が必要です。これは人にとっても動物にとっても危惧しなければならない重要な課題であり、獣医師だけでなく飼い主の理解も必要です。
薬剤耐性菌を発生させてしまうと、使える抗菌薬が限られ、いざというときに副作用が強いものを使わざるを得ない状況や、使っても全然効かないということが生じます。もちろん必要なときに薬を使うのは当然ですが、ウイルス性の風邪など抗菌薬の意味がない場合や、下痢など抗菌薬以外にも有効な治療法が考えられる場合などは、きちんと診察と検査の上、あえて抗菌薬を使わないということも重要です。
(2023年11月執筆)