冬の胸痛
季節の注意 胸部・腹部
寒くなると胸が痛いとか、重いと訴えて受診する人が多くいます。冬の寒さで体表が冷えると、そこを循環している血液が冷やされて体内の重要な臓器が冷え、臓器の機能が低下してしまいます。
人体はこの寒さに対して、表面の血管を収縮させて血液が冷えるのを防ぐ防御反応を備えています。しかし急激な体表の血管収縮は血管抵抗の増加や心臓への還流血液量の増加をもたらし、元々病変のある心臓や血管には大きな負担をかける結果となります。
疾患の種類やそれぞれの人によって胸痛の強度や質は異なりますが、心筋梗塞や狭心症、解離性大動脈瘤では激しい胸痛を来すことが多く、緊急の治療が必要となります。また胸痛は心臓の疾患だけではなく、肺・胸膜・胸壁や胸部以外の疾患も原因となることがあり、痛みが軽いから、あるいは一時的だからといって放置するのは危険なことがあります。
(2020年12月執筆)