この治療法に出会ってから早いもので14年が経ちます。歯の神経保存は大変難しく、この治療法を始めた2008年頃は何人もの患者さんにご迷惑をかけたものです。

　この治療法は、うまくいかなければ痛みが消えるどころかかえって大きくなります。そうなると神経を取るという従来の治療法になります。「神経保存を頑張っていただきありがとうございます」という人もいましたが、「最初から神経を取ってくれれば痛みを我慢しなくても済んだのに」という声もありました。

　現在ではほとんどの患者さんの治療がうまくいき、「忙しいので通院回数が少ないことはありがたい」「被せたくなかったので助かった」「麻酔薬にアレルギーあるので、この治療法で良かった」など、神経を取らないことの重要性を理解してくれる患者さんがたくさん来院しています。神経を取った歯は感染の確率が非常に高くなるので、私は神経を取らないように努めています。

（2022年10月執筆）