歯が抜けていると抜くでは意味が違う
口・歯 診療のこと
抜けているは壊死した状態で、抜くは生きている状態ということです。ですから抜けている歯は助けることができません。歯が抜けている状態とは、重度の歯周病、歯自体が溶けて2mm以下になっているなどで、食事をした程度の刺激で抜け落ちます。歯は壊死しているので抜けた痛みも出血もほとんどありません。例えば洗髪して抜けた毛髪は痛くないですが、誰かに毛髪を引っ張られたりすれば痛みを感じるのと同じことです。
では歯を抜く症例とはどんな時なのか? (1)乳歯が引っ掛かって発育の障害になっている。(2)親知らずの位置異常。(3)5つ以上に破折。(4)腫瘍が大きく顎の除去が必要などの場合で、日常診療において抜歯を行うことはあまりないのです。万が一、かかりつけ医が抜歯しかできないと言うならば、安易に同意をせず、治せる医師を探すことをおすすめします。無くなった歯は元には戻りません。抜歯されて困るのは患者さんなのです。
(2017年12月執筆)