魚に潜む「アニサキス」
胸部・腹部 診療のこと
「アニサキス」とは、クジラやイルカなどの海洋哺乳類の体内で成虫になる寄生虫で、その幼虫が魚介類に寄生します。アニサキスが寄生した魚介類を「生のまま」または「生に近い状態」で食べると、人の胃や腸壁にアニサキスが侵入し、胃腸炎を発症します。これはアレルギー反応による症状であり、多くが摂取後8時間以内に激しい腹痛を生じます。また、嘔吐やじんましん症状を伴うこともあります。
養殖の魚には存在しないアニサキスですが、天然のサバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマなどに寄生することがよく知られています。有効な予防法は、十分な加熱処理や十分な凍結処理です。
万が一アニサキス症が疑われるような経緯と腹痛症状が起こった際には、上部内視鏡(胃カメラ)による虫体摘出術が検討されます。一般的に腹痛の原因は多岐にわたるため、その診断や治療には消化器内科への受診が推奨されます。
(2022年11月執筆)