SAS(睡眠時無呼吸症候群)
成人 胸部・腹部 診療のこと
SASは成人男性の3〜7%、女性の2〜5%と頻度の高い疾患です。いびきを伴うことが多く、昼間の眠気や疲労感・起床時の頭痛などの症状があっても何年間も毎日のようにある症状なので自分では気が付きにくく、家族や友人に指摘され検査を受ける人が多いようです。
検査結果の中で、1時間に10秒以上の無呼吸と低呼吸、すなわち平常の半分以下の気流で、しかも血中酸素飽和度(SO₂)が低下する回数(AHI)が重要です。コロナウイルス感染による肺炎や重症化の指標の一つとしてSO₂が90%未満と報道されていますが、SASの人の多くは何と80%前後を示し、中には70%近くにまで低下する人もいます。これは覚醒していればめまいや意識障害を起こすレベルです。
一時的とはいえ、夜間頻回に低酸素状態が繰り返されれば心臓や各臓器への負担は計り知れません。SASは治療をすれば症状を改善できる疾患です。
(2020年5月執筆)