最期までおうちで過ごすには? 転倒編(2)
シニア 診療のこと
転倒の原因の1つとして、薬物との関係があります。服用薬物によっては、精神機能障害および運動機能障害が生じることが少なくありません。精神機能障害には、眠気・ふらつき・注意力低下・失神・めまい・せん妄などがあります。運動機能障害には、筋緊張低下・脱力・失調、および薬物性パーキンソン症候群などがあります。
高齢者の転倒を予防するためには、治療のために服用している薬物を把握し、その影響と転倒の危険性を念頭に置くことが必要です。また、5種類以上の薬物を服用している人は、転倒する割合が高くなるという研究報告もあります。高齢者では加齢に伴って運動機能が減弱し、視力や聴力などの感覚・認知能力も低下しているため、精神機能障害が加われば、転倒の危険性はさらに高くなります。転倒を繰り返す場合には、主治医や薬剤師に相談してみてください。
(2019年7月執筆)