大動脈弁狭窄症(AS)
シニア 診療のこと
大動脈弁は心臓と大動脈を境する弁膜です。大動脈弁は3枚の弁尖で形成され、血液が心臓へ逆流するのを防いでいます。しかし弁尖が肥厚・癒着するとASを起こすことがあり、その原因の多くは動脈硬化症です。症状は狭心痛・失神・心不全などですが、かなり進行するまで無症状のことが多く、症状が出た時には既に重症で予後も不良です。そのため症状が出る前に手術することが推奨されています。
最近、弁やその他の状態によっては開胸せずにカテーテル手術で、人工大動脈弁を植込む方法が開発され、身体により軽い負担での治療が可能となり注目されています。今後、高齢者の増加に伴いAS罹患数の増加も予測されており、高齢者では多少症状があっても、年齢のせいとして自分で活動量を制限する傾向があるので、症状が進行してしまうことがあります。日頃から健診などでしっかりチェックすることが大切です。
(2019年5月執筆)