おうちで最期まで過ごすには?(10)
シニア 診療のこと
「おばあちゃん、最近同じことを何度も言うのよね。物を盗まれたとか。あんなに好きだったお掃除をしなくなったんだけど、認知症かしら?」認知症の診断根拠は、家族からの日常生活のエピソードから成り立つことも多く、病院・専門医への受診のきっかけにもなります。
認知症は在宅医療において、一般的な疾患でありますが、特にアルツハイマー型は、発症から死に至るまでの約10年間、人生の終末期まで運動機能には影響が少ないことが多く、それだけで在宅医療の対象になることは少ないのが現実です。ただし、認知症患者の死亡原因としては、内科的合併症・心不全・腎不全の増悪が多く、自らの症状を伝え、受診行動をとることが苦手になります。そのため、全身管理による早期診断・治療が重要になります。他の中枢性疾患(正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫など)との鑑別診断も大事な在宅医の役割です。
(2019年2月執筆)