おうちで最期まで過ごすには? (6)
シニア 診療のこと
ある82歳女性の胃がん末期患者のことです。余命3か月を病院主治医より宣告され、自宅での加療を開始しました。退院後は、がんによる腹痛によって、食欲もなく、外出する機会も減り、歩行困難も認められるようになりました。
本人は、「先生、まだ、私は麻薬に頼りたくない、副作用も心配でもう少しこのまま様子みたい」と。がんの痛みの軽減が最優先加療と考え、「麻薬はとても安全で治療効果の高い薬なんですよ」と本人が納得いくまで説明し、麻薬の投与を開始。すると腹痛は90%以上改善、食欲も改善、歩行も可能となり、家族と北海道へスキー旅行に行くまで回復しました。
現在も健在で麻薬による緩和ケアによって、余命宣告から約1年が経過しようとしています。疼痛緩和は、本人の苦痛を緩和することはもちろん、家族のストレスも軽減することにつながるのです。
(2018年10月執筆)