訪問看護ステーション (3)「排便と介護者家族」
シニア
高齢者になると便秘や便失禁などの排便障害によって、身体的な苦痛や、毎日の生活への影響、精神的ストレスを受けます。高齢者の価値観として、「便が出ないと大変なことになるので重要だ」「家族にも手を借りたくない」「排便の場所、回数、下剤は制限したい」「排便の世話は家族が行うべきだ」「自分や家族の生活を脅かされたくないので、訪問看護師に排便コントロールしてほしい」などが挙げられます。老々介護の場合は、夫婦の関係性によって、介護者が健康問題を抱えながら身体的負担の大きい排便の世話を行うことがあります。
訪問看護師は、便秘患者に対して、摘便・浣腸を行い、便を出し切って便失禁を防ぐという技術を有しており、介護者家族が高齢者の排便の世話を行うことを回避することができます。家庭内に潜在化した文化を理解し、家族の関係性を尊重しつつ、徐々に調整することもできます。
(2020年8月執筆)