肥大型心筋症
胸部・腹部 診療のこと
心筋症とは、高血圧や狭心症・心筋梗塞などに起因せずに、心機能障害を起こす心筋自体の病気の総称です。拡張型・肥大型・拘束型などがありますが、今回は肥大型心筋症(以下HCM)をテーマにしました。
HCMは左心室の壁が部分的に肥厚し、胸痛・息切れ・立ちくらみ・失神などの症状が出る病気です。突然死することがあり、その原因には心房細動による脳梗塞の合併や、重症不整脈が多いことが分かっています。最近、HCMではいろいろな遺伝子異常が見つかり、家族性に発症することがあるので、血縁者に突然死の家族歴があるHCMの人は注意が必要です。
また、肥厚部位が左心室の出口に近いと、閉塞性HCMと言って体が必要とする血液量を拍出できず、症状が出やすく危険です。HCMと診断されても生涯全く症状のない人も多く見られますが、ゆっくりと心筋の肥厚が進行することもあり、定期的な検査は欠かせません。
(2018年3月執筆)