コロナ禍の中で:「密」の両面性
心・精神
コロナ禍の昨今、「密」という文字に私たちは吸い寄せられています。まず「三密」と呼ばれるように、「密」は危険で避けるべきものとされました。それは私たちに分断をもたらしています。
最大の悲劇は病院や施設にいる肉親、とくにその死に目にすら、密を避け会えない、ということでしょう。ひとが生きていく上での「親密さ」の重要性を痛感します。私たちはこれを取り戻す必要があります。
しかしまた「密」を全て良いものと理想化するのも違うようです。むしろ適度な距離がなくなった自宅の密集状態にイライラを感じ、悲鳴を上げる家族も少なくなく、イライラを訴え来院する人も増えています。DV、虐待の相談が増えているのも事実です。「密」には元来イライラをもたらす悪い面もある、と認め、イライラする自分を受け入れて許し、それぞれの人間関係に適度な「密」を探ることが大切なのだと思います。
(2020年6月執筆)