不眠になったらうつ病を疑うこと
心・精神 診療のこと
心療内科を、眠れないという理由で受診するひとに、うつ病が認められることは日常茶飯事です。うつ病のほとんどに不眠は合併し、またうつ病の初発症状が不眠であることも非常に多くあります。純粋な不眠症は案外少ないのです。
不眠の診断のガイドラインでは、まずうつ病を除外することが求められています。しかしうつ病が進行し、気分の沈み、興味・楽しみの喪失、意欲減退など、うつ病の中核症状を呈して心療内科に受診したときには、すでに依存性の高い睡眠導入剤が漫然と長期間処方されていて、強固な依存を形成しているために減量や変薬もしにくく、対処に難渋することがしばしばあります。
睡眠導入剤は乱用されており、しかも抗うつ効果はなく、決して軽い薬でもありません。認知に影響を与え、転倒骨折やせん妄を起こすこともあります。不眠に悩むときには、他の心身の不調にも注意を払いましょう。
(2024年10月執筆)