抗不安薬・睡眠導入剤のリスク
心・精神 診療のこと
初老の男性が、抗不安薬デパス(エチゾラム)を処方されてから「体がふらつく」と来院されました。この状況は危険です。
抗不安薬、特にデパスは筋弛緩作用が強く、転倒の危険があり、最悪骨折で寝たきりになる可能性さえあります。また抗不安薬、それと同種の睡眠導入剤(マイスリーなど)は依存性が高い薬剤です。数か月以上服用するとやめるのが困難になりやすく、やめようとするとかえって不安や不眠を誘発します。服薬によって不安や不眠を誘発していては本末転倒です。認知機能への悪影響もあります。また、入院する際にはせん妄(意識障害の一種)を起こす比率が高まり、そうなると退院が困難になることもあります。
これらの薬は良い薬ですが、安易な長期の服用継続は避けましょう。ただし、すでに長期に服用している人は急激な減薬はせず、信頼できる専門医と相談し徐々に減薬していきましょう。
(2022年10月執筆)