「ボヘミアン・ラプソディー」
心・精神 診療のこと
伝説のロックバンド「クイーン」の作曲家フレディ・マーキュリーの半生を描いた大ヒット映画です。題名はその代表曲(未聴の人は、ぜひこの機会に)。華麗なサウンドと不思議な歌詞は衝撃的ですが、実はフレディは自らの苦悩と混乱を率直に表現していたようです。以下歌詞に沿って。
彼は現実と幻想の狭間でどうでもいい、とごまかしますが、深い罪悪感と絶望の中にいます。彼はこの苦悩に耐えきれず、空想の中でガリレオから魔王まで万能的な人物に魔術的な救済を求め、狂宴が始まります。救いを求める「叫び・糾弾・恐怖」が入り乱れ、混乱は極に達します。混乱はやがて静まり「どうでもいい」状態に戻り曲は終わります。
ひとが苦悩に耐えきれずパニック・自殺衝動・摂食障害・精神病状態に陥いる時、こころの中ではこのような狂宴が繰り返されているのでしょう。それは誰にもある苦悩の物語なのだと思います。
(2019年1月執筆)