解離性大動脈瘤
シニア 血液・血管
読者諸兄の中には、俳優の石原裕次郎が羅患したことでご存知の人も多いと思います。胸背から腹部へ突然激痛を来し死亡率の高い疾患です。大動脈壁は三層の膜から形成されており、全体がコブ状にふくらむのが大動脈瘤です。これに対して解離性大動脈瘤は内膜が何らかの原因で裂け、裂目から流れ込んだ血液が中膜を血圧で裂いていきます。裂けてできた腔が本来の大動脈内腔より大きくなることもあり、大動脈から分枝する重要な動脈がこの裂けで狭窄・閉塞され、さまざまな症状を呈します。すなわち心臓へ行く冠動脈であれば心筋梗塞を、脳なら脳梗塞や意識障害を、場所によっては腹部や下肢の激痛などを来します。
正確な原因は不明ですが高血圧が関与し70歳代に多くみられます。またマルファン症候群・血管炎・先天性奇形・自己免疫疾患などに合併し、若年者に発症することもあり、迅速な治療が必要です。
(2017年5月執筆)