「癌性悪液質」 犬の栄養(2)
ペット 診療のこと
悪液質になっている動物におけるタンパク質の代謝は正常とは異なっていますが、がんにとっても元々の体の機能にとってもタンパク質は重要です。特にシステイン、グルタミン、アルギニンは抗酸化系を活性化させたり免疫を調節したりするなど重要な役割を持ちます。取り過ぎはがんを助長させますが、十分摂取する必要があります。
脂質の中でもEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸は、炭水化物に比べてがんにおける露骨なデメリットが少なく、化学療法や放射線療法の増強など治療効果を高める可能性があり、がんの動物にとって有益と考えられています。従って、普段の食事の組成として気にするというよりは、サプリメントなどで摂取するのが効率的でしょう。
これらを全て満たした上でおいしく食べてくれる食事というのは、持病にも左右されますので一辺倒な答えはありません。その子に合わせた食事を獣医師と一緒に考えていくのが良いでしょう。
(2022年10月執筆)