犬の膀胱腫瘍
ペット 診療のこと
犬の膀胱腫瘍は悪性腫瘍が多く、ほとんどが移行上皮癌です。一部の殺虫剤・除草剤・抗がん剤・肥満がその発生の要因と報告されています。ウエスティー・シェルティー・ビーグルなど特定の犬種に発生が多く見られます。膀胱腫瘍の症状は血尿・頻尿・排尿困難・お漏らしなどがあり、膀胱炎の症状が重なることが多くあります。抗生物質の治療にも一時的に改善が見られますが、完全な改善は見られず、再発を繰り返します。診断には尿検査(尿道カテーテルを用いた細胞診を含む)、レントゲン検査や超音波検査、血液検査、レントゲン造影検査やCT検査などが必要になります。非常に悪性度が高いことが多く、早期の外科処置が大切になります。しかし再発率も高く、発生部位によっては抗がん剤治療などの内科的な治療が主になります。骨への転移や尿道閉塞、排尿痛など辛い症状もあり、QOLの維持が大切になります。
(2016年3月執筆)