巨大結腸症
ペット 下腹部
長期間糞便が停滞すると持続的に水分が吸収され、便は大きく硬くなり、排泄が困難になります。大きく硬い糞便により、長期にわたる結腸の拡張が続くと、結腸の平滑筋や神経に不可逆的な変化が起こり、無力的になり、巨大結腸症となります。便が長時間腸内に溜まっていると、発酵して硫化水素・メルカプタンなどのイオウを含んだガスの発生や、宿便からの細菌代謝産物の吸収による脱水や食欲不振などの全身症状が見られます。骨盤の骨折や会陰ヘルニアなどの場合、外科的に補正されますと良好な経過を得ることができます。
しかし猫の特発性巨大結腸症の場合は、宿便の除去および便秘再発の内科的予防が必要になり、長期の食事管理や下剤の使用でも効果が認められず、浣腸あるいは手指による排便が必要になります。なお猫では外科的治療(結腸切除)の成績が良いので積極的に提案しています。
(2017年2月執筆)