難治性下痢(炎症性腸疾患)
ペット 胸部・腹部
犬猫の炎症性腸疾患(IBD)の発生機序および病態は明らかではないが、人のIBDとは同様に考えられております。IBDは遺伝的な素因をもつ個体における腸粘膜の免疫的な異常反応であり、食事などの環境因子、腸内細菌因子、そして腸管免疫系の複雑な相互作用の結果、慢性の消化器症状が3週間以上続くこと。一般的な対処療法には完全に反応せず、他の疾患(膵炎、肝胆道系疾患、腫瘍系疾患など)がなく、病理組織的検査で消化管粘膜の炎症性変化が明らかであり、一般的に免疫抑制療法に反応する疾患です。
以上のように診断がなかなか難しく、治療に関しても、経験的なことで食事の変更や抗生剤の使用により抗原量を減らすこと、免疫抑制剤や抗炎症剤を用いて、腸粘膜の炎症を抑えることが主体となります。個体により異なった長期的あるいは生涯にわたる根気強い治療が必要になります。
(2016年12月執筆)