クッシング症候群
ペット 診療のこと
クッシング症候群は、副腎という組織から主に産生されるコルチゾールというホルモンの過剰な分泌によって引き起こされる疾患で、犬では比較的よく見られ猫ではまれといわれています。ホルモンの過剰な分泌はさまざまな症状を引き起こしますが、多飲多尿、皮膚トラブルや脱毛、筋肉量が減って腹部だけ張ってきたなどの症状は、飼い主が気付きやすいところです。実際に血液中のコルチゾールの量を測定することもできます。
特徴的なのは、ホルモン異常は全身性の症状が顕著に出るため、逆に血液検査の数値が高めでも症状がなければこの病気とは言いづらいということです。そのため、総合的に判断する必要があります。
原因にもよりますが、治療としてはコルチゾールをある程度薬で抑え込みます。強めな薬なので検査しながら微調整することが必要ですが、最も重要なのは臨床症状に改善が見られることです。獣医師と一緒に日々様子をよく観察しましょう。
(2023年8月執筆)