「癌性悪液質」 犬の栄養(1)
ペット 診療のこと
悪液質とは基礎疾患に関連して生ずる複合的代謝異常の症候群とされています。つまり、ずっと病気を抱えていると代謝の仕方が変わってしまい、体を維持する栄養的バランスが崩れてさまざまな症状が出ているという状態です。
この状態は、腫瘍性疾患ではたびたび考慮する必要があり、患者のQOLを低下させ、治療に対する反応性を低下させるため、栄養学的にこの事象を知り食事を考えることは非常に重要です。もちろん理想的には根本原因である腫瘍や疾患を取り除くことが大切ですが、それが難しい子が少なくありません。
私たちは普段、炭水化物からエネルギーを効率よく取り出していますが、癌細胞があると同じ条件でも乳酸とピルビン酸が残りやすく、効率が非常に落ちてしまいます。また、炭水化物の摂取によるインスリン濃度の上昇が、癌の発生と関係していると考えられているので、炭水化物は控えめにした方が良いでしょう。
(2022年9月執筆)