脂肪肝もあなどれない
胸部・腹部
一昔前までは脂肪肝と言うと、美食や肥満の代名詞で、あまり心配されない病気でした。しかし近年、この脂肪肝の状態が続くと肝臓に慢性的なダメージが起き、肝臓の働きが極端に落ちたり、肝臓がんに進んだりすることが想像以上に多いことが分かってきました。脂肪肝の1〜2割の人が肝臓に脂肪がたまるだけでなく、肝臓の機能に影響を及ぼす「脂肪肝炎」になると言われます。
以前は肝硬変や肝がんは主にB型やC型肝炎などウイルス性肝炎の人がかかる病気でしたが、これらが輸血による感染や母子感染の対策がなされ減少する一方で、食生活の変化や運動量の減少で脂肪肝は年々増えています。治療法の基本は、やはり食事や運動などの生活習慣の改善です。現代人は体重がそれほど多くなくても、筋肉量が少なく体脂肪率が高い、いわゆる「隠れ肥満」の人も多いため、運動習慣のない痩せ形の人も注意が必要です。
(2020年12月執筆)