巨大食道
ペット 診療のこと
食道は口で噛み砕かれた食物を胃に送る管で、蠕動運動により食物が胃へと送られます。食道内異物や食道狭窄、食道炎などで食道の通過障害の結果として食道拡張を示すものと、食道の機能障害の結果、巨大食道を起こすものがあります。先天性の特発性巨大食道症と何らかの原因により引き起こされた後天性の食道症があります。犬の後天性巨大食道症の原因の一つとして重症筋無力症の局所型のものがあり、アセチルコリンレセプターに対する抗体産生により、筋肉の収縮ができなくなる疾患です。その他に多発性筋炎・副腎機能低下症・甲状腺機能低下症で見られることがあります。また食物の逆流により誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高い病気です。主な症状は吐出(食べてすぐ前触れなく吐き出す)、食後の慢性的な嘔吐などがあります。食事のとき食物を高い所に置き重力の力を借りて胃に落とすことが有効です。
(2016年5月執筆)