
散瞳薬を使う検査と車の運転について
目 診療のこと
「虫が飛んで見える」「糖尿病で通院中の内科から眼底検査を勧められた」。こういった主訴の患者さんが車で来院されたと聞くと、心苦しい気持ちになります。「検査に必要な点眼をさすとピント調節が効かなくなり、かつ、とても眩しくなるので、数時間運転できなくなります」という案内をしなければならないからです。
人間の眼はカメラと同様の構造をしており、茶目(虹彩)はカメラの絞りにあたる構造です。診察時の光で絞りが自動的に働き、診察できる範囲がとても狭くなるため、先述のような眼底疾患の確認時には、散瞳薬という特殊な点眼薬をさし、絞り機能を抑制する必要があります。絞り機能と同時に調節機能も抑制されてしまうため、「ピント調節が効かない」「非常にまぶしい」といった状態が4〜5時間続きます。自動車・自転車などの運転ができない状態となりますので、運転できる人と一緒に来院するか、公共交通機関の利用がお勧めです。
(2025年12月執筆)













