会陰ヘルニア
ペット 診療のこと
会陰ヘルニアは未去勢の中年齢以降の雄犬に多く見られます。肛門周囲の筋肉(肛門挙筋、尾骨筋など)の萎縮により、排便時のいきみなど腹腔内圧が上昇することに伴い、骨盤隔膜の強度が耐え切れずに直腸が拡張したり変位したりして肛門の横のスペースに逸脱してしまう病態です。
症状として出るのは排便障害が多く、さらに進行し膀胱(ぼうこう)や前立腺が脱出すると排尿困難となり、生命を脅かす病態になります。見た目やレントゲン、直腸検査などを行うことで分かるため診断はそこまで難しくありませんが、厄介なのは温存療法を選択して経過観察を続けても、ヘルニア孔の拡大に伴って病態が悪化するため、外科的整復をしないと良い予後が得られないことです。
自分の組織でヘルニアにふたをしたり、人工物を使ったりするなど多くの手術方法がありますが、再手術が必要となることもあります。予防のためにも早期の去勢手術をおすすめします。
(2024年4月執筆)