虫歯と歯周病のこと
口・歯 診療のこと
健康寿命と歯の関係はこのコラムで何度かご紹介しました。歯を失うとよく噛めない、発音がしづらい、人前で笑顔になれないなど、心も体も何らかの悪い影響が出てきます。そうならないため、失った歯を補い、今ある歯を守っていくのです。では歯を失う原因とは何でしょうか。さまざまな要因がありますが、歯が抜けることとして考えられる主な原因は「虫歯」と「歯周病」です。
年代別で歯の残存本数を見ると、40代を境に急激に減り始めます。働き盛りの40代は歯のケアをすることがなかなか難しいのか、全ての歯の半分は虫歯という調査結果もあります。虫歯は放っておくと歯根に膿が溜まり、歯を維持することが難しくなります。歯周病は初期段階では痛みもなく分かりにくい病気です。お口に歯垢や歯石が溜まると、その中にいる歯周病菌が歯茎に炎症を引き起こします。歯茎の腫れや出血が起こり、次第に歯がぐらぐらし痛みで食事ができず、最終的には抜けてしまうのです。歯を失うことで起こる心と体の影響を考えると、歯を失わないように生活習慣としてお口のケアに努めることと、プロによる定期健診が大切です。
残念ながら失ってしまった時は、早急に歯を補うことが大切です。健康な歯を残せるインプラントは優れた治療法の一つですが、インプラント治療には事前に多くの準備が必要です。当院では、患者さん・担当医・歯科衛生士が共通の情報を共有し、万全の態勢を整え、インプラント治療を行いますが、場合によっては別の治療法を提案することもあります。せっかく治療をしてもケアが悪ければ再発してしまいます。そうならないように、5年先、10年先の状況を見据え、大切な歯を守るための計画を私たちと一緒に考えていきましょう。
(2017年7月執筆)