幹細胞療法~組織を再生する~
ペット 診療のこと
ES細胞やiPS細胞は代表的な幹細胞ですが、それらを使って臓器や組織を再生する幹細胞療法は新しい治療法として期待されています。動物の医療でも幹細胞療法が行われており、少しずつ成果が出ています。そもそも、幹細胞は動物の身体にもともと備わっています。あらゆる性質の細胞に変化することで損傷部位を補ったり、壊れた組織の修復を促す生理活性物質を出すことによって、自然治癒力を向上させます。また、炎症や損傷を起こした部位に集まる性質もあります。
動物の場合、脂肪や骨髄の中にある幹細胞を取り出して、2週間ほど培養した後、体の中に戻すことで自己再生能力を高めることができます。現在は、椎間板ヘルニアなどの神経疾患や治りにくい骨折、自己免疫疾患などで使用されています。外科療法や内科療法などの標準治療では治らない病気の、新しい治療の選択肢になっています。
(2017年4月執筆)