抗うつ薬への拒否感を越えて
心・精神 薬 診療のこと
心療内科でよく診る抑うつ・不安・パニック発作などの症状の多くはSSRI、SNRIなどの薬で治療します。これらは脳内のセロトニン系、ノルアドレナリン系という神経系を賦活します。セロトニン神経系は座禅の呼吸法などで元気になる神経系です。基本的に依存性がなく安全な薬です。しかし飲み初めにむかつきや眠気、だるさなどの副作用が出ることがあります。1週間くらいで消失するのですが、飲むのを恐れて服用やめてしまう人も少なくありません。代わりに抗不安薬が使用されます。私も即効性を期待し最初は抗不安薬を使います。抗うつ薬は効果発現に2週ほどかかるからです。しかし抗不安薬は疾患をもとから治す薬ではなく、また今日長期使用は避けるべきとされています。抗うつ薬を使って適切にじっくり治療することが、その後の長期にわたる精神の健康に益することが理解されるとよいと思います。
(2016年10月執筆)