夢を活用してみましょう
心・精神 診療のこと
患者さんがふと夢について語るので、内容を聴いてみることがあります。夢に出てくる人やものについて思い浮かぶことを尋ねることもあります。精神分析を専門とする医師にとって、夢はときに宝の山です。話し手のこころのあり方や、苦しみのありかが鮮明に映し出されていることもあります。長い精神療法の中で一つの夢が転機になることもあります。うつのとき「夢ばかり見てよく眠れない」とおっしゃる人は多いですが、内容は思い出せないことが多いです。心身が疲労して夢を完成できず、睡眠を保護できないのかもしれません。もちろん夢を理解するためには長いトレーニングが必要です。でも、誰でも夢を利用することはできます。それは夢に伴う気分、感情を思い出してみることです。楽しい、落ち着かない、怖い、寂しい…、それらは今の自分の奥底にある気分や感情の一部を表わしているかもしれません。
(2016年6月執筆)