精神科・心療内科における「病気」の診断
心・精神 時事 診療のこと
ゲーム依存症が、今年改定されるWHOの国際疾病分類第11版(ICD-11)に追加されると報じられました。精神科・心療内科領域では、国際分類が診療に深く影響を及ぼします。同様のものに米精神医学会のDSMがあります。
診療中、「私は病気なんですか? 」と尋ねられるのは日常茶飯事ですが、先入観や感情が絡み、納得いく説明をするのは至難の業です。しかし、例えばゲーム依存を「疾病」とする意義の一つは、問題を本人の意志の弱さ、怠けなどのせいにして非難することではなく、何が起きているかを理解し、本人と周囲への支援を考えることにあります。
本物の精神科診断は非常に複雑で、ただチェック項目を数えたりして、二者択一に分類するという平面的なものではなく、いろいろな視点や診断が過去将来を見越して重なりあいます。そして立体的に理解できるほど、長期的改善率は違ってくるのです。
(2018年1月執筆)