
躁的防衛と悲しみの作業
心・精神
仲良しで知られる有名夫婦の離婚が報じられ驚きました。(元)妻が出演する番組で、彼女は離婚について明るい声で「報告」していましたが、私は彼女の微妙なテンションの高さ、空笑い、奇行に違和感を覚えました。番組では当然ではありますが、悲しみはどこにもないようです。喪失の悲しみをなかったことにして、過剰に明るくふるまうことを「躁的防衛」と呼びます。彼女の場合は健康な水準の躁的防衛ですが、喪失が完全に否認されてしまう病的なものもあり、かえって抑うつ反応が遷延してしまうこともあります。こころの奥底では喪失はなかったことにされているのです。
人生に喪失は不可避です。こころの健康には「悼み悲しむ作業」によって喪失を通り抜けることが不可欠です。それはこころの健康とほとんど同義といえる、大事なこころの働きなのです。
(2025年10月執筆)
								












