コロナ禍の中での心療内科
心・精神 時事
ひととひとが会う、という当たり前の出来事が命に関わりかねない新型コロナウイルス感染症に対しては、心療内科診療も慎重にならざるを得ません。
1年前、私は特に治療者と相談者が密に関わるカウンセリングの一部をオンラインに移行しようと試みました。それが相談者の安全を守ると考えたからですが、中にみるみる具合が悪くなっていく相談者がいました。危機にひんするこころの深い部分について語る、聴く、想う、触れる、ということが本質的なやりとりでは、時として、場を共有しなければ、本質的な何かがお互いに伝わらない場合がある、ということをあらためて思い知らされたわけです。
今、私の診察室には大きな透明のパネルがあります。安全と場の共有とをはかりに掛けた選択です。幸い、懸念したより安全にカウンセリングは行われていますが、今も全国のこころの専門家の試行錯誤は続いています。
(2021年2月執筆)