睡眠時無呼吸症候群と心臓
胸部・腹部
睡眠時無呼吸症候群、特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と高血圧については以前説明しましたが、血圧だけではなく心臓も大きく影響を受けます。例えば冠動脈に狭窄があると、OSAによる低酸素の状態が心筋梗塞の誘因となることがあります。また低酸素・高二酸化炭素だけではなくOSAによる血行動態の変化や、自律神経他の神経反射などさまざまな要因で心筋細胞が障害され、種々の不整脈を起こしやすくなり、高齢者に多い心房細動の発症率もさらに増加します。OSAは60歳以上の約20%にみられ、加齢に伴い罹患率は高くなり、しかも重症になりやすくなります。一般にOSAでは睡眠中に無呼吸が起こるたびに覚醒反応が生じて睡眠が何度も途切れるために、昼間の眠気や倦怠感が生じやすく、高齢者では夜間頻尿・不眠・認知機能の低下、さらには心不全を来すことがあり、OSAの積極的な検査が必要と考えられています。
(2020年11月執筆)