高血圧と睡眠時無呼吸症候群
成人 胸部・腹部
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の半数に高血圧があり、高血圧の約3割にSASが見られます。無呼吸になると自律神経を介して脈拍が増加し、血圧が上昇します。心臓は精一杯拍動し酸素需要が高くなるのに対して、血中からの酸素供給は減少し心臓に多大な負荷が掛かります。
また、低酸素や血圧の上昇は脳や他臓器に障害を来すことがあります。経皮的酸素濃度は98%前後が正常で、90%をきると呼吸不全の状態となりますが、SASの無呼吸時にはこれより低下することが多く、中には80%以下になることもあります。
本来休息のための睡眠が体にとっては起きているときより苦しく、しかも自身では無呼吸の自覚が全く無いのがSASです。SASは肥満の人に多く、日本では少ないのではないかと思われていましたが、必ずしもそうではありません。なかなか血圧が目標値に下がらない高血圧の人は、SAS検査を受ける必要があるかもしれません。
(2020年8月執筆)