ひとの行動の気づかない意味
心・精神
昔、専門研修のため新幹線で西に向かっていた私の鞄の中に専門書の他、手塚治虫のマンガ「陽だまりの樹」がありました。手塚治虫の曾祖父、蘭方医良庵を中心に幕末を描いた大作ですが、私は偶然に選んだつもりでした。しかしストーリーは良庵が蘭学の中心、大阪の適塾の緒方洪庵のもとに旅するところから始まるのです。私は自分を重ねてこの本を読んでいたのですが、気づいたのは師に指摘された後でした。しかもこの話が自分の未解決な葛藤に関わりがあることに次第に気づいていきました。このようにひとの行動には気づかない深い意味があり、それを考えることは実りが大きいのです。
失敗や思い違いにも意味があることがあります。失敗がないよう細心の注意を払うことは重要ですが、失敗を不必要に「道徳的」に責めず、どういうこころの深い「現実」を表しているかを考えることが意味深いことも多いのです。
(2017年3月執筆)