きょうだい関係について
心・精神 診療のこと
こころの健康を維持する土台として、親子関係が重要であることは論を待たないでしょう。しかしこころの底を見ていくと、想像以上にきょうだい関係の比重が大きいことに驚かされます。親は自分よりきょうだいに関心を向けていた、比較され、異なる扱いを受けた、差別されていた、と感じてきた人が少なくなく、親子関係と絡んで悪循環を招いていることもあります。
きょうだいは人生で初めて出会う他者で、その葛藤は後の交友関係にも大きな影響を与え、自尊心に深い傷を残すこともあり、思春期の悩みやうつ病の根元の部分に関わっていたりします。また、後に老親の介護や看取りの場面できょうだい葛藤が露呈することも少なくありません。この葛藤の解決には、精神分析のような深い治療でも時間がかかる作業が必要です。
この年末年始に改めてきょうだい関係にも思いを寄せ、自分を振り返ってみるのはいかがでしょう。
(2022年12月執筆)