風邪なので抗生剤をください?
予防 感染症 熱・咳・寒気 薬
感染症を起こす病原体の代表がウイルスと細菌です。これらは混同しがちですが全く異なるもので、起こす病気も治療薬も違います。意外かもしれませんが抗生剤は細菌にしか効きかず、ウイルスによる病気には全く効果がありません。そのウイルスよる病気の代表が「風邪」です。「私の風邪は抗生剤しか効かない」などよく聞きますが、経験からくる思い込みでしょう。また風邪の時の黄色い鼻汁や高熱も細菌による症状ではないことがほとんどです。抗生剤に害がないのなら良いのですが、不用意な抗生剤は体内で薬の効かない耐性菌を増やしたり、良い働きをする細菌まで死滅させたりします。さらに予防的な服用や念のための服用も意味がありません。とは言っても、肺炎など抗生剤が必要な病状も多々あります。その際でも何十種類もある抗生剤の中から適切なものを選択するには、正しい診断と十分な知識が必要です。
(2015年12月執筆)