朝の散歩はうつ病の薬
心・精神 診療のこと
将棋棋士、先崎学九段には重度のうつ病を患った体験記『うつ病九段』という著作があり、具体的かつ迫真的な描写が一級の名著です。その彼が最悪の状態で入院してまだ2週間くらい、病棟外に出られるようになると、精神科医の兄からできるだけ散歩するようすすめられます。「うつにとって散歩は薬のようなものなんだ」「特に朝の光を浴びるのが良い」と。
そこで先崎九段は、心身の重たい症状になお苦しみ、ちょっと無茶なようですが、長いと3時間以上病院周囲や街を歩き回り、退院してからもそれを続け、その効果は確実だったようです。
朝の光を浴びることは、脳をリセットして体内時計の正常化を促し、天然の光療法の効果があります。散歩は心身を活性化し、運動療法とリハビリテーションの効果があります。うつ病の治療・予防法として、そして心身の活性化法として、朝のウォーキングはおすすめです。
(2023年2月執筆)