緊張性気胸
胸部・腹部 診療のこと
以前、気胸についてお話しましたが、気胸の中でも緊張性気胸は緊急処置を必要とする極めて危険な気胸です。肺自体には収縮・拡張する機能はなく、息を吸ったり、吐いたりできません。胸壁や横隔膜の収縮・拡張に引かれて肺は収縮・拡張し、息が出入りしています。
胸壁や横隔膜と肺は接しており、間にはごくわずかな水分があるだけです。ここに空気がたまった状態が気胸で、空気がどんどんたまっていくと、胸壁の肋骨は大きく変形できないため、肺や心臓、大血管などが反対側に圧排され、呼吸や血液循環ができなくなるわけです。
では、どうして肺や心臓を圧排するほど空気がたまるのでしょうか。それはチェックバルブといって、空気が一方通行になり、自然気胸や外傷性気胸で吸気はたまっても肺や胸壁の組織が出口を塞ぐため、たまった空気が出ていけないからです。気胸を疑うときはすぐに専門医を受診しましょう。
(2019年9月執筆)